インゴットを本物と証明する方法
金の価値が世界的に高まり続ける今、資産防衛の一つとしてインゴット(金の延べ棒)による投資が注目を集めています。しかし、その人気に影を落とすのが、巧妙に作られた「偽物」の存在です。
この記事では、大切な資産を守るために、インゴットが本物かご自身で確かめる方法を解説。さらに、偽物以外にも潜むインゴット投資のリスクにも触れ、より安全な金投資の選択肢まで紹介します。
偽造インゴットのリスクとは
金価格の高騰とともに、近年大きな問題となっているのが「偽造インゴット」の存在です。代表的な手口としては、内部にタングステンなど金と比重の近い金属を混入させ、外側だけを金で覆った偽造品が挙げられます。見た目や重量だけでは本物と区別がつきにくく、一般的な簡易検査では判別できないケースも少なくありません。さらに深刻なのが、違法に採掘された金や出所不明の金に、有名ブランドの刻印やシリアルナンバーを偽造して流通させる事例です。
参照元:ロイター(https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKCN1VJ0G5/)2019年8月29日記事
インゴット投資はGDBで購入がおすすめ
インゴット投資を購入するなら、国際規格に適合したグッド・デリバリー・バー(GDB)がおすすめです。
GDBにはLBMA認定の刻印が入る上、品位・重量・製錬業者名・シリアル番号まで明確に示されます。国際市場での流通性も高く、信頼性のある資産です。信頼できる販売業者なら、受入時の検収や真贋確認、売却時の記録管理までの手順が完備されている上、購入証明書や取引記録も提示。押し買い業者による不当な買い叩きの予防にもつながります。
インゴットが本物か証明する5つの方法
では、どうすれば偽物を見分けることができるのでしょうか。自身で確認できる基本的なチェックポイントから、専門家による確実な鑑定方法まで、5つの方法を解説します。
ポイント1.刻印を細かく確認する
本物のインゴットには、必ずいくつかの情報が刻印されています。まずは、これらの刻印を観察することから始めましょう。
本物のインゴットは、これらの刻印が深く、鮮明に刻まれています。フォント(文字の形)も均一で、整然としているのが特徴です。
一方、偽物は刻印がぼやけていたり、浅かったり、文字の大きさが不揃いだったりすることがあります。ルーペなどを使って細部まで確認してみましょう。
ポイント2.重量とサイズを正確に測定する
金は、非常に密度の高い金属です。そのため、同じ重さの他の金属と比べると体積はかなり小さくなります。この性質を利用して、重量とサイズを正確に測ることも有効な確認方法です。
まずは、0.1g単位で測定できる精密なスケール(はかり)を用意し、刻印されている重量と実際の重量を比べてください。もし1g以上の誤差があれば、偽物である可能性が高いと考えられます。
また、偽物は金と同じ重さにしようとすると、どうしてもサイズが大きくなったり、厚みが増したりする傾向があります。ノギスなどを使って、縦・横・厚さを正確に測定し、公式に発表されている規格寸法と照らし合わせてみるのも良い方法です。
ポイント3.磁石を近づけてみる
家庭でできる手軽な方法の一つが、磁石を使ってみることです。純金は磁石に引き寄せられることはありません。
もし、インゴットに磁石がくっついた場合、それは内部に鉄などの磁性を持つ金属が混入している証拠であり、偽物だと断定できます。
ただし、注意点もあります。偽物の素材としてよく使われるタングステンなどは、金と同様に磁石には反応しません。「磁石にくっつかないから本物だ」と断定はできないため、偽物を見つけるための一つのスクリーニングテストとして考えましょう。
ポイント4.比重を調べる
より科学的で信頼性の高い方法が、比重を調べることです。金の比重は「19.32」と決まっており、これは他の一般的な金属とは大きく異なる数値です。
ご家庭でも精密スケールと水の入った容器があれば、簡易的に比重を測定できます。
- 1.インゴットの重さを正確に測ります。(これをAとします)
- 2.容器に水を入れ、スケールに乗せてから表示をゼロにします。
- 3.インゴットを糸で吊るし、完全に水の中に沈めます。(容器の底や壁には触れないように注意)
- 4.このときにスケールが表示した数値が、インゴットの体積(g=㎤)です。(これをBとします)
- 5.「A ÷ B」を計算し、算出された数値が比重です。
この計算結果が19.32に近ければ本物の可能性が高く、大きく異なれば偽物を疑うべきでしょう。
ポイント5.専門業者に鑑定を依頼する
これまで紹介した方法は、あくまで自身でできる簡易的な確認方法です。確実で信頼できるのは、やはり専門の買取業者や鑑定機関に依頼することでしょう。
専門家であれば、X線分析装置といった専用の機材を使用します。これによりインゴットを傷つけることなく、内部にどのような金属がどれくらい含まれているのかを正確に分析することが可能です。偽物を見抜く最終的な手段として、プロの鑑定を受けることを強く推奨します。
インゴットの刻印・シリアルナンバーについてさらに詳しく
金インゴットには、真贋判定や価値評価のために複数の刻印が施されています。これらの刻印は単なる装飾ではなく、製造元や品質を証明する重要な情報です。
ブランド名
インゴットには必ず製造したメーカーのブランド名が刻印されています。日本国内では田中貴金属、三菱マテリアルなどが代表的なメーカーとして知られています。これらはLBMAのグッド・デリバリー・バー(GDB)認定を受けており、国内外で高い信頼性があります。一方で、GDB以外にも国内外には多くのメーカーも存在しています。
重量
インゴットには重量も刻印されており、これは価値を判断するうえで非常に重要な要素です。代表的な種類としては、国際取引で用いられるラージバー(約12.5kg)や、100g、1kgといった小型インゴットがあります。刻印には「12.5kg」「100g」などと明確に表示され、単位や数値に誤りがないかが確認ポイントとなります。
品位表示
品位表示は、インゴットに含まれる金の純度を示す刻印です。数値が1000に近いほど純度が高く、最高品位は「999.9」とされ、これは一般的にK24(純金)に相当します。現在流通している多くのインゴットは999.9が採用されています。一方、18金(K18)は金75%、他の金属25%の合金であり、ジュエリーには多用されますが、インゴットとして製造されることはほとんどありません。
シリアルナンバー
シリアルナンバーは、インゴット一つひとつに付与される個体識別番号です。メーカーが製造時に刻印し、同じ番号のインゴットは存在しません。これにより、製造履歴の管理や真贋確認が可能になります。シリアルナンバー自体から所有者が特定されることはありませんが、購入時の計算書や領収書に番号と個人情報が紐づけて記載される場合もあります。
偽物だけじゃない!インゴット投資に潜む3つのリスク
インゴット投資を考える際、多くの人が偽物の心配をしますが、リスクはそれだけではありません。物理的な資産である「金地金」だからこそ避けられない、3つのリスクについて解説します。
偽造・詐欺のリスク
これまで見てきたように、インゴットには常に偽物のリスクがつきまといます。技術の進歩により偽物はますます巧妙になっており、もはや専門家でなければ完全に見抜くことは不可能です。個人がその品質を100%保証するのは、困難な時代になっていることを認識しておく必要があるでしょう。
盗難のリスク
インゴットは非常に高価でありながら、サイズが小さく、換金も容易です。そのため、常に窃盗犯の標的となり得ます。大切に自宅の金庫で保管していても、空き巣や強盗のリスクがゼロになることはありません。物理的に保有する以上、盗難のリスクからは逃れられないのです。
保管・管理のコストと手間
盗難リスクを避けるため、多くの方は銀行の貸金庫などを利用します。これには年間で数万円程度の保管コストが発生するため、資産を守るために継続的な費用がかかってしまうのです。
また、いざ現金が必要になった際に、銀行の営業時間内に出向いて手続きをしなければならず、すぐには引き出せないという手間や時間的な制約もデメリットと言えるでしょう。
インゴットのリスクを回避するなら「金貨」という選択肢
偽物、盗難、保管コストというインゴット投資が抱えるリスクを考えると、躊躇してしまう方もいるかもしれません。実は、これらのリスクを軽減できる、もう一つの現物資産投資があります。それが「金貨」への投資です。
金貨には、インゴットにはない多くのメリットがあります。
- インゴットのような大きな塊ではなく、1枚数万円程度から購入でき、少額から始めやすい。
- 世界的に有名な金貨(メイプルリーフ金貨やウィーン金貨など)は、デザインや規格が世界中で統一されており、偽造が非常に困難です。
- 真贋の判断がインゴットに比べて格段に容易です。
- 1枚ずつ専用のケースに入れて、コレクションとして楽しみながら保管でき、管理も簡単です。
これらの点から金貨はインゴットよりも手軽で、かつ安全性の高い投資対象だと言えるのではないでしょうか。
まとめ
インゴットが本物か証明するための5つの方法と、インゴット投資に潜む3つの大きなリスクについて解説してきました。刻印や重量の確認は有効ですが、最終的には専門家の鑑定が最も確実です。
偽造・盗難・保管というリスクを根本的に避け、安全かつ確実に金投資を行いたいのであれば、「金貨投資」も選択肢として検討するのも一つの手です。
特に、金貨の中でも第三者の鑑定機関が真贋と品質を格付けし、特殊なケースに封入した「認定金貨(スラブコイン)」は、その信頼性が世界的に保証されています。偽物の心配が一切なく、資産価値も明確であるため、これ以上なく安心できる現物資産と言えるでしょう。金投資の第一歩として、まずは信頼性の高い認定金貨から検討してみてはいかがでしょうか。
